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白色LEDが現実のものとなって以来、LEDの用途は比較的に広がった。携帯電話のディスプレイから始まった液晶のバックライト用途は大型の液晶テレビにも広がり、現在の主流となっている。さらには、人類の文明の1つである「明かり」、つまり照明にまでもその利用が始まり急速に普及してきているのは周知の通りである。
青色LEDと蛍光体により白色LEDが世に登場したのは1997年で、わずか5 lm/W(ルーメン/ワット)の明るさであった。その後、輝度が向上し照明への利用が目論まれるようになったのが2000年の前半である。以後、高輝度化が進み、同様に高電力を使用し照明用途に特化したものが増えてきた。
様々な仕様のLEDがある中で、近年1Wを超えるものを「ハイパワー/大電力LED」と表現する傾向が見られ、LEDメーカの製品体系もアプリケーションをベースに整理されてきた感がある。このタイミングで、LEDアプリケーションとして今後、強力に市場をドライブするといわれている照明用の大電力LEDの状況を確認したいと考え、LED関連メーカへの取材を行った。
なお、LEDには、半導体としてのLEDそのものの物性、発光効率などの性能、蛍光体やパッケージング、光源としての特性やアプリケーション上の課題など非常に広範かつ多面的な視点があるが、今回は高電力LEDを選定するための目線で取材を行い、関連メーカの特徴やラインナップを知るきっかけとなる情報提供を意図した形でまとめてみた。

白色LEDの市場と照明用の市場
最初に現在の白色LEDの市場の状況、さらにその中でも照明用の状況を確認する。野村総合研究所の試算では、2015年のLED照明の世界市場規模は、2010年に比べて4倍近い96億2500万ドル(約7500億円)にまで拡大する見通しである。また、白色LED市場全体に占める割合も2012年には照明用が20%を超すとされている。過去に発表された予測と現在を比べると、なんと、おおよそは予測の上方修正が必要な状況となっている。
これを後押ししている理由としては環境問題に端を発するCO2の削減など、省エネ対応であることは間違いない。日本においては2012年には白熱電球の生産と販売を終了する要請が政府から出され、ほぼ達成状態である。また、省エネルギー法の改正にともないコンビニなどが全LED照明化に動いている。本年3月の原発事故に関連した節電への対応として大幅な需要が起こったことも、LED照明市場の急成長に関係すると考えられる。
市場の成長に前倒し感があるのは、LED自体の急速な性能向上も寄与していると考える。白色LEDの発光効率は2007年では80lm/Wぐらいであった。2008年のLED照明推進協議会(JLEDS)が公表したロードマップでは、昼白色の高効率LEDで120lm/Wに達するのは2009年、150lm/Wを超えるのは2015年ごろと予想されていた。実際には2009年に120lm/Wが達成され、その後急速に進展し本年2011年には1Wクラスの照明向け高電力タイプで160lm/Wのものが発表され、さらに高効率なものが視野に入っているという。
市場をけん引するアプリケーションと白色LED
白色LEDの発展とアプリケーションの関係においては、年代ごとに市場をけん引する鍵が存在する。そのアプリケーションと白色LEDの電力の関係を以下の表に示す。
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年代 |
アプリケーション |
白色LEDの電力 |
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2000〜2008年
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小型液晶ディスプレイのバックライト(携帯電話、PDA、携帯ゲーム機など)
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100mW以下 |
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2009〜2012年 |
中型〜大型液晶ディスプレイのバックライト(パソコン、テレビ、カーナビ、タブレットPCなど) |
150mW〜500mWぐらい |
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2012年〜? |
照明用途(一般家屋、商店、ビル、街灯他多数) |
1W〜 |
白色LEDの現状の成長ドライバはまだPCや液晶テレビなどのバックライトで中電型である。2012〜2013年からは
一般照明向け大電力型がドライバになると予想されるが、すでに照明用途のスタートは切られており、現在はその渦中に入りつつあると考えてもおかしくない状況だ。
さらに、現在白熱電球の代替となるLED電球はかなりこなれてきたが、蛍光管の代替はまだこれからである。明るさや形状対応の改善が進めば爆発的な需要が見込まれるだろう。
実は、白色LEDの照明用途が口にされるようになってから現在の状況に至るまで、思いのほか時間がかかっている印象を持っている。以前の鍵となったアプリケーションは基本的に電子機器で最先端のアプリケーションであるのに対し、
照明は成熟市場の代替からスタートしている点が大きな違いである。性能面においては、まず既存の照明の明かりとしての品質や品位を再現することから始まり、それを超えなくて行けない。単純にはなかなか代替は進まない分野だが、省エネや行政の指導といった推進力が後押しをしている。

参入障壁は低く、独自性のアピールもしやすい
LED照明の市場には、従来からの電球メーカはもちろん、関連業種、さらには異業種からの参入が相次いでいる。その理由についてにまとめてみた。
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白熱球/蛍光管の照明市場 |
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LED照明 |
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大手電気メーカの独占市場
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⇔
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半導体(光デバイス)にて既存のプレイヤーが多数 |
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生産は専用設備で完成品を生産 |
⇔ |
半導体製造に準じ、照明の光源部品として流通可 |
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コスト重視で技術的にも成熟 |
⇔ |
日進月歩でまだ改善の余地大 |
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新規参入は困難 |
⇔ |
新規参入が容易 |
極端な話をすれば、LEDと電源と部材を集めて組みたてることができれば、誰でもLED照明のマーケットに参入できる。もちろん照明としての品位やデザインなどが必要なものは多くあるが、従来の市場に参入するよりははるかに参入障壁は低い。
従来からLED事業を行っているメーカが照明器具メーカと合弁し、照明市場に直接的に参入するなど既存事業の延長線上の市場に参入するケース、まったくの異業種から既得市場や顧客といった販売先を見込み新規事業として参入するケースなど様々だ。中にはLED電球には手を付けずオフィスの蛍光管(直管)の代替を目論んだ直管型LEDから参入するといった先の市場へいきなり飛びこむケースもある。
現在のところ光源の規格や制限がないので、独自性をアピールすることも可能だ。無法地帯ではないが、ある意味「先陣切って事成したものの勝ち」的な状況は否定できない。

業態は様々
さて、白色LEDを供給しているメーカはと問われると「主要なメーカは知っているが、正直なところ細かいところまでは..」という方がほとんどではなかろうか。LEDチップの製造から、デバイス(パッケージにチップを収めたもの)、モジュール、ユニット(ほぼ器具の状態)をすべて手掛ける垂直構造をもつメーカから、チップは外部購入でデバイス以降を製造しているといった様々な形態がある。以下は、LEDチップの製造を行い高電力タイプを扱っていると認識している主要なメーカ。事業拡張など流動的な状況も多々あると思うので、参考にとどめていただきたい。また、製造はしていても外販はしていないケースもあるので留意いただきたい。
国内主要メーカ(五十音順)
シチズン電子、シャープ、スタンレー電気、東芝、豊田合成、日亜化学工業、ローム他
海外主要メーカ(アルファベット順)
Avago Technology、Cree、Osram、Philips Lumileds、Samsung、Seoul Semiconductor他
特許が絡む戦略と制限
特に青色LEDと白色LEDは特許が大きな武器、逆には制限事項になっているのは周知の通りだ。特許にかかわる訴訟は数限りなく、それによるクロスライセンス、ライセンス供与、提携、合弁などがあり非常に複雑である。主な特許は上記の主要メーカが持っている(持っているから主要メーカともいえる)。
ここで、使用するLEDのメーカ選択において注意すべきことがある。特許訴訟により抵触の可能性などが認められると、そのものを使用した製品などの輸出入の差し止めが行われる場合がある。これはLEDに限ったことではないが、コスト重視で採用した類似部品がある国に輸出できなくなったといった話は珍しくない。主要メーカはライセンスに基づく調整がほぼ済んでおり、基本的に特許がらみの問題は発生しないと思われるが、製品ごとに必ず確認したほうが安心だ。

本稿においては「照明用LED」という括りで事を述べているが、何をもって「照明用」というのかは公の規格や仕様は存在しない。つまり製造側の位置付けによるものである。議論はあると思うが目安として以下のような区分けをしてみた。
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分類 |
電力(W) |
明るさ(lm) |
用途 |
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中電力(シングルチップ)
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0.1〜0.5
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10〜 |
室内蛍光灯代替 |
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大電力(シングルチップ) |
1W〜 |
数十〜 |
店舗ダウンライト、自動車ヘッドランプ(ハロゲン代替)、街灯、屋外照明 |
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マルチチップ |
数W〜 |
数百〜 |
一般照明、屋外照明 |
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AC駆動 |
数W〜 |
数百〜 |
一般照明、小型/狭所向け |
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カラー(R/G/B LEDの組合せ) |
- |
- |
景観照明、舞台照明、大型電光掲示板 |
用途については必要に応じて選択は自由であるが、蛍光管型への使用であれば中程度の電力で小型のものを数多く配置する、店舗用のダウンライトや自動車ヘッドランプであれば直線的な光が適するのでシングルチップの大電力タイプといった観点で代表的なアプリケーションを記載した。
上記の表で示したように、パッケージに1個のLEDが搭載されているシングルチップのタイプと複数のもののマルチチップのタイプがある。それぞれ特徴があるので比較を示す。
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シングルチップ |
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マルチチップ |
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チップサイズを大きくして高出力が得られるが、発光効率は下がる。
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⇔
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通常サイズのチップで個別には出力は劣るが、発光効率は上がる。 |
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1点に熱が集中する。 |
⇔ |
チップが複数で分散しているので放熱設計が楽。 |
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単一の点光源にて光学設計が単純。レンズやリフレクタを使用する照明に向く。 |
⇔ |
光源が複数になるので集光する場合には向かない。 |
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点光源の光が強いと影が強く出て用途によって使いにくい。(導光版や拡散版で面光源化する場合あり) |
⇔ |
光源ごとの輝度が高くないので、面を照らす照明や人目につく照明向く。 |
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組立工程で色味のばらつきの調整に手間がかかる。 |
⇔ |
色味の違うチップを組み合わせることで均一化が可能 |
供給形態は、LED全体ではベアチップ、チップタイプ・パケージ、砲弾型、SMD(表面実装)と多岐に渡るが、上記のもののほとんどはSMDタイプだ。レンズを搭載したものなど形状やサイズは様々だが、業界標準に準拠したパッケージもある。
他の分類条件として、製造プロセスや蛍光体、パッケージ材料などがあげられるが、ここでは2次的な要件として割愛する。詳細は各メーカが提供しているのでそちらを参照願う。

既存の光源との比較
LEDを照明用に使う場合、人間の感性による評価が加わるので、たとえば明るければ明るいほど良いといったわけにはいかない。現にLED電球が普及し始めた当初は「あまり明るくない割には、ギラギラする」といったような一般利用者からの意見を耳にした。
LEDメーカとしては、まずは代替用途では従来の電球並みの明るさを確保することから始め、光の指向性や明かりとしての品位向上に寄与できるLEDを実現するために努力をしているところだと考える。それは、今回の取材を通じて「明かりとは」という観点での考えが多く聞かれたことからも伺える。
まずは、既存の光源との違いをまとめてみた。
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項目 |
白色LED ※1 |
白熱電球 |
蛍光管 |
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消費電力:W
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1
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60 |
40 |
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該当の明るさ(全光束):lm |
80〜140 |
800 |
3100 |
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発光効率:lm/W |
80〜140 |
10〜15 |
70〜85 |
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熱損失:% |
60〜70 |
90(赤外放射含む) |
75(赤外放射含む) |
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色温度:K |
2600〜6500 |
2400〜3000 |
4200〜6500 |
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演色性:Ra |
70〜95 |
100 |
60〜75 |
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寿命:時間 |
20000〜60000 |
1000 |
12000 |
※1:白色LEDの数値は照明用途LEDの代表的〜ハイエンドの値だが、進歩が激しいので流動的。
既存の光源に対するLEDの利点は、長寿命、低消費、耐衝撃性、小型、高速応答など、すでに随所で述べられているので詳細は割愛するが、だれが見ても既存の光源を置き換えるのはすでに現実であることがわかる。
明るさ(全光束)
照明用途において明るさは非常に重要だが、LEDは小型なので複数のLEDを使うことで照明器具としては自由度が高い。上記の表では高電力のシングチップのLEDを例にしたが、マルチチップの数W以上のLEDであれば1000lmを超える。
発光効率
明るさだけの観点でいえば、発光効率が上がれば使うLEDの数が少なくなり、基本的にはコストが下がる。もちろん
同じ明るさを得るために消費する電力は削減でき熱の発生も抑えることができる。ただし、3項のシングルチップとマルチチップの特徴の違いからもわかるように、照明として考えた場合に発光効率以外にも重要な要素は多い。
演色性
演色性とは照明で照らした際の色の見え方具合で、演色評価数で数値化できる。LEDでは平均演色評価数(Ra)や演色指数(CRI)が使われ、値が100に近づくほど良い(色のずれが少ない)とされる。白熱電球が100となる。
照明として演色性は重要なポイントで、近年Ra 90以上の高演色性LEDが登場している。一般照明では多くが自然な色で見える必要があるので、演色性は照明用LED選ぶ際の検討事項になる。
色味のばらつき
明かりの品位を考えた場合に色味のばらつきは重要なポイントとなる。色味のばらつきは、ある率、ある範囲で存在し、ビン(Bin)という表現で示されている。これは製造上、LEDチップの特性がロットによって多少異なるのが主な理由で、パッケージング時に蛍光体を調整したり、完成品を選別するなどの対処がある。しかし、それでも複数のLEDまたは照明が並ぶような場合は、色味の違いが視覚的に分かり、購入したLEDにどうしても使えないものが含まれる歩留まりの問題をはらむ。
色味に敏感なアプリケーションに対しては、色度管理基準「マックアダム(MacAdam)偏差楕円」により色のばらつきが規定された白色LEDが供給されている。マックアダム既定のものは、一般的な完成品の選別による色味のばらつき(ANSI C78.377規格で示されることが多い)に対し、大幅にばらつきの領域が狭まっている。これは製造プロセス、検査、構成などの技術革新が大きく寄与している。マックアダム偏差楕円3-stepのばらつきは人間の目では判別できないレベルといわれており、現在3-stepおよび上位の2-stepのものが量産供給されている。


発光効率のさらなる向上は必須
加速度的に性能が向上している照明用途の白色LEDだが、さらなる発光効率の向上が望まれている。もちろん、既存の白熱球や蛍光管に比べれば効率は高いのだが、たとえば40Wの白熱球に見合う明るさを得るには1W級なら5個前後のLEDが必要になる。現在のところ、LEDだけのコストの話をすれば、個数が少ない方、つまり1個の発光効率が高く今まで5個のところが4個に減る方が優位といわれている。実際には放熱器のコストなど電球であれば電球としてのコストを考えることになるのだが、LEDの発光効率がコストに与える影響は大きい。
価格競争の果
性能向上が著しい白色LEDだが、価格競争の激しさ、そして価格の降下速度も著しく市場における成長ドライバの寿命も短くなっているのは事実だと思う。もちろん、価格が下がり新興国なども含め普及が進めば、本来の目的である地球規模の省エネに大きく貢献することになるも事実ではあるが。
基本的には現在の主要メーカは、効率を向上させつつコストを下げるという順当な方向にあると思うが、今度特許切れなどにより制限が緩んだ場合には、東南アジア勢などによる価格攻勢もさることながら、効率は二の次といったものが出てくる可能性は否めないという。
前述のように、明るさを得るためにはLEDの数を増やせばよいのだが、そうすると消費電力は増加する。それでも、白熱球に比べれば低消費なのだろうが、蛍光管の代替を考えると現在のレベルでも同じ明るさに対する電力消費には大幅なアドバンテージがあるかは微妙である。白熱球であろうがLEDであろうが、消費電力あたりのCO2排出量は同じな分けで、過ぎた考えかもしれないが、価格競争のために性能が低いLEDがはびこる可能性があるとすれば、特に先進国は考えるべきことがあるのではないかと思う。
放熱は大きな課題
LED電球や照明ユニットを見て、その複雑な造形やいかにもといった形状から、放熱にかなり苦労していることがわかる。LEDの長所として「効率が高く熱損失が少ないので発熱も少ない」ことが示されている。これはこれで正しいのだが、放熱との差し引きでどれだけ高温になるのか、さらにはLEDがどれだけの高温に耐えられるのかというのは別問題である。現に、熱損失が約90%の白熱電球を使った照明器具、そして電球そのものにLED照明のような放熱器は基本的に付けられていない。ちなみに白色LEDの熱損失は60〜70%である。
白熱球は熱損失(90%)のほとんどを赤外線輻射として外部に直接放熱し、蛍光管では75%損失のうち30%程が赤外放射され、残りの50%が管で直接熱になる。したがって、火傷を負うほど高熱になるが自身でかなりの放熱が行われ、構成材料も元々その熱に耐えられるガラスや金属なので放熱器を設ける必要がない。ところが、LEDは赤外放射がないので、熱損失(60〜70%)のすべてがLEDチップで熱になってしまう。さらには、LEDチップの動作保証温度の上限はTj=85℃の場合がほとんどで、ガラスや金属といった部材より遥かに低く、高温下での使用は寿命を縮め定格を超えると破壊に至る。そのため、点灯中のLEDの温度を適正に維持するために放熱器を付加するが、場合によっては空冷を行う必要が生じる。
これを解決するには物理法則にしたがうしかない。LEDの効率を上げ、熱抵抗の低いパッケージに封入し、放熱効果の高い実装と放熱器(外装を兼ねる)を使い、照明としての設置においては空気の対流も考慮にいれる必要がある。そういう意味では、埋め込み型のダウンライトなどは対流は望めないので、より注意が必要になるだろう。
照明器具としての効率や力率
これは、LED自体の問題ではないのだが、設計者はLED電球や照明器具としての省エネ度も考える必要がある。器具の場合、入力はACラインからとなり、以後は基本的にAC/DCそしてDC/DC変換を経てLEDは定電流駆動される。上述の効率関連の話はLED自体のものだが、本質的な省エネを考えるとすれば、AC入力からの力率や照明器具としての効率も議論されるべきだ。
LED電球の力率の例だが、メーカによって0.5から0.95ぐらいと大きなばらつきがあるようだ。一般ユーザは最終的な消費電力で見ることになるが、送電側からみると力率は重要だ。力率の観点からPFC(力率改善)機能の搭載の必要性は高まるだろう。また、定電流駆動用のDC/DCコンバータの変換効率も回路によっては60%から90%ぐらいまでばらつくので、同様に検討課題であると考える。

今回は照明用白色LEDに焦点をあてた。現在は液晶ディスプレイのバックライトの需要と中電力の高輝度白色LEDが市場をドライブしているが、すでに大電力の白色LEDが照明の市場をドライブし始めている。LEDメーカは照明用途に向けて発光効率を加速度的に向上させ、明かりとしての品位を上げるために演色性や色味のばらつきの改善を図っている。また、LED照明という市場は比較的参入が容易なため、多くの、そして異業種からの参入もあり活況を呈している。LED照明は既存の光源を代替しながら、LEDならではの長所を活かした形でも普及が始まっている。今後は厳しい戦いと淘汰が起こりながらも、この市場が成長するのは確実であろう。
話は少しそれるが、一般に発売された当時の白熱電球代替目的のLED電球の価格は1万円近くだったのが数年前には半額になり、昨今では1000円ちょっとで購入できるようになった。それでも白熱球に比べればはるかに高価なのだが、人の良心なのか代替が進んでいる。そういった意味では、現在のところ一般人がCO2の排出削減に比較的容易に貢献できるのは、照明用途の電力消費を削減することではないかと思う。日本の電力消費の約20%は照明用途に使われており、もし必要な明るさをLEDによって既存照明の半分の電力で得られるのであれば、この部分の電力消費=CO2排出を半減できる計算になる。
少々飛躍するが、そういう意味でこの市場は人類の存亡にかかわる重要なもので、LEDメーカから器具メーカに至るすべての関係者がその一端を担っていると考えてもいいのではないか。ついては、食べ尽くして捨ててしまうようなことにならないように考えていく必要があると思う。

本稿執筆にあたり、LED関連メーカ7社の協力を得ることができ、取材をさせていただいた。各社、共通項を持ちながらも独自の方針と製品をもっており、非常に足が速くきびしい市場の中で、市場をけん引する技術開発がものすごいスピードで進んでいる。個人的には、失礼極まりないが「LEDは電流を流すと光るだけ」という思い込みが一変した。この場を借りて、お礼とともにお詫びもさせていただきたい。
今回は照明用途に焦点をあてたが、実はあらためてLED(色は問わず)の用途の広さ、そして重要性を認識した。身近なものでは信号機、電光表示板、自動車のランプ類は寿命や信頼性の面から多くがLEDになっている。また、スイッチのオン/オフを表示するなどの表示器、携帯電話では液晶ディスプレイのバックライトばかりではなくキーパッドのバックライトなど、到底フィラメントがあるバルブ(電球)では入らないスペースに入るLEDだからできるアプリケーションも非常に多い。周りを見渡すとありとあらゆるものにLEDが使われており、LEDから得ている利便性は計り知れない状況であることがわかる。再び失礼ではあるが、LEDは地味な部品ながらその市場の広さと底力、そして貢献度が高いことを実感した次第である。
以下に、各取材先から頂いた情報と一押し的な製品を紹介させていただいた。誌面の関係で限られた内容になっているので、是非とも各社のホームページを訪問していただきたい。
(以下、五十音順)
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IDECは、スイッチ、表示器、リレー、タイマー、センサ、電源等の制御関連機器製品、FAシステム製品、防爆機器、そしてLED照明を手掛ける日本メーカ。LEDモジュールを自社生産し、表示器などでのLED利用に関する光学設計のノウハウが、機械内照明をはじめ工場や店舗向けのLED照明ユニットへ展開されている。2008年に竣工した世界初の「全館LED照明」の新建屋はセンセーショナルで記憶に新しい。
LUMIFAと呼ぶLED照明ユニットのラインナップは、天井用、機内/設備用、検査用、冷凍/冷蔵ショーケース用、防爆環境用と産業分野向けで、LED照明用の電源も揃える。
高天井用は主に工場や体育館の水銀灯の代替で、IDEC独自のリフレクタ型の光学設計技術により400Wの水銀灯を180WのLEDで置き換え可能という。メリットは省電力化だけではなく、すぐに100%発光すること、長寿命ゆえメンテナンス・コストが下がること、そして演色性があげられる。
また低温倉庫用LED照明は、光学設計技術と結露を起こさない気密性の高いケース技術によって、冷凍倉庫の蛍光灯の代替として、天井の冷却機からの冷気の流れを妨げない形状および配置で最適な配光を実現している。
IDECは産業機器メーカとしての経験とLEDを使った光学設計技術をもとに産業分野向けLED照明の開発を推し進め、特に工場照明、高天井照明の分野に対し積極的な展開を行う意向。
問い合わせ先:IDEC株式会社 |
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アバゴ・テクノロジーは、オプトエレクトロニクスをはじめ多岐にわたるアナログ半導体デバイスを手掛ける米国のメーカで、LEDに関してはヒューレット・パッカード時代の赤色LEDの発明にまで遡る老舗。LEDのラインナップは、高輝度LEDとインジケータ/表示器に大別される。それぞれ多種多様な仕様とパッケージが準備され、表示器においては7セグやドットマトリクス・ディスプレイも豊富。
高輝度製品群の1つで、業界標準PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)パッケージの面実装 PLCC LEDは、120°という広い視野角によりインジケータ/バックライト/照明用途に最適。照明器具、家電や産業機器のボタンやパネル、LED看板、自動車のメータやセンターコンソールなど応用範囲は広い。独自の材料とパッケージ設計により、-40℃〜100℃と広い温度範囲で動作しあらゆるアプリケーションに対応する高信頼性をもつ。発光色も豊富で、赤系、緑系、青、そして白色は白と電球色等があり、2色/3色発光品も準備されている。中でも「スーパー0.5WパワーPLCC-4」は、価格対明るさ比では業界トップだという。
アバゴ・テクノロジーは、昨今注目されているLCDバックライトや電球といった市場を特別視せずに、豊富な製品群からありとあらゆる分野に向けて、市場が本当に必要とするアプリケーション重視のLEDソリューションを展開する戦略をとる。
お問合せ先:アバゴ・テクノロジー株式会社 |
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CREEは米国のLEDメーカで、LEDチップからパッケージ品、モジュール、照明器具までを手掛けている。製品コンセプトとして「ライティング・クラス」を掲げ、「照明に合ったLED」に特化した製品ランナップが特徴となる。
主力はパッケージ品で、1W以上のハイパワーLED「XLamp」と、1W以下の「高輝度」LEDのラインナップを揃える。
XLamp XM-Lはワンチップ構成で業界トップクラスの160lm/Wを誇るハイパワーLED。最大駆動電流は3Aで10Wクラスとなり、昼白色、白色、電球色相当が用意されている。X-Lamp XM-Lシリーズには EazyWhiteと呼ぶバージョンがあり、こちらは複数チップ(4チップ)構成にすることで、
色のばらつきマックアダム2-Stepを実現した。Tj=85℃での光束規定、高演色品も用意され、順方向電圧は6Vと12Vの2タイプ、最大定格電流は2A (12V時は1A)。
高効率・高光量のワンチップ品は少ないLED数で大きな光束が得られるので、屋外灯や投光器などに向き、EasyWhiteは色のばらつきが少ないことからダウンライトなど複数が並び色の差が気になる場合や演色性が問題になる場合に有用となる。
CREEはLEDをブランドとするメーカの1つであり、パテント問題もクリアしており、今後も照明に最適なLEDに注力していく。
問い合わせ先:CREE Japan株式会社
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シャープのLED製品は、チップからデバイス、モジュール、そして照明器具に渡り多彩だ。照明用LEDデバイスに関しては、主にシーリングライト、直管型に向けた50mWおよび0.5W〜1W品、発熱球の代替用途の3W〜10W品、さらに店舗用レフ球の代替に適した15W〜50W品がラインナップされている。
GW5D*E**MR5(*には製品固有の識別コードが入る)は、ラインナップ中最大の50Wクラスの照明用LED。発光効率の高いLEDチップと蛍光体を採用することにより、店舗のダウンライトなどで一般的な色温度3000K、演色評価数(Ra)83の条件で、50Wクラス業界最高の発光効率 93.3 lm/Wを実現(2011年9月29日時点)。
独自のパッケージ技術により、色のばらつきは実使用条件に近いTc=90℃の高温で3-Stepマックアダムを達成しており、演色評価数(Ra)90以上の高演色タイプも揃え、高品位で高い演色性が求められる照明ニーズに対応する。
シャープは、LEDの性能面において発光効率の高効率化、高品位な照明のための色度分布の狭小化、ハイパワーLEDの課題である発熱を抑えるための熱抵抗の低減に取り組みつつ、LED照明普及のために重要なコスト効率(円/lm)の改善を図る。また、垂直統合ビジネスモデルの強みを活かし、LEDに関する総合的なソリューション提供を促進する。
お問合せ先:シャープ株式会社 広報室、もしくは
こちら>> |
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ソウル半導体(Seoul Semiconductor)は、LEDチップの製造(子会社:Seoul Optodevice)、パッケージ品、モジュールを手掛ける韓国のLEDメーカ。従来型の汎用LEDから高輝度バックライト用、ハイパワー照明用とラインナップは幅広く、超短波長(255nm)の深紫外線用LEDや無極性LEDの開発も行っている。
照明用LEDの中でも特徴的な「Acrich(アクリチ)」は、AC電源での直接駆動を可能にしたLED。通常LEDはDC電圧で駆動するためAC/DCコンバータを必要とするが、Acrichは複数のLEDチップを利用する独自技術により、2本のワイヤにAC100V〜240V を直接接続するだけで駆動できる。したがって、大幅な小型化とコスト削減が可能で、部品点数が減ることから信頼性も向上する。
Acrich2はAcrichにAcrich ICと呼ぶ自社製の制御ICを搭載したモジュールで、0.95以上の力率改善やフリッカの低減などより照明用としての性能が向上している。Acrich2は4W〜16Wをカバーし、40W/60W白熱球の代替を含め広範な照明用途に有効なソリューションである。
現在、ソウル半導体はバックライト向けLEDの販売比率が高いが、照明向けLEDが急速にのびてきており、Acrich/Acrich2など独自の製品をさらに発展させLED照明市場においてもビジネスの拡充を図る意向。
お問合せ先:ジャパンソウル半導体株式会社 |
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フィリップス・ルミレッズは米国のLEDメーカで、ヒューレッド・パッカードのオプトエレクトロニクス部門に端を発し、ルミレッズ・ライティングとして設立後現在に至る。ハイパワーLEDに特化し、LEDチップの製造およびパッケージ品を手掛け、照明用として多様なバリエーションを展開するLUXEON(ルクシオン)シリーズ、自動車用途のSnapLED、SingleSure、SuperFluxといったLED製品をラインナップする。
LUXEON Aシリーズは、「ホットビンニング」と呼ぶ実使用条件に近いTj=85℃で仕様を設定し(通常25℃)テストを行い、さらに色味のばらつきは色度座標上で3-Stepマックアダム楕円以内を実現。3-Stepマックアダムのばらつきは目視ではほぼ判別できないレベルで、購入者は色のばらつきを考える必要がなく、色の選別、検査やロスをなくすことができる。
発光素子面積は同社の代表的ハイパワーLED LUXEON Rebelの2倍で高光束かつ高効率。演色性はtyp. Ra85と高く照明用に最適。今後さらにラインナップを拡充する予定。
フィリップス・ルミレッズは、LEDの高性能化を促進するのはもちろん、老舗ランプメーカでもあるフィリップスのノウハウを利用し、照明用光源としての使いやすさに着目した製品展開を進める。また、全製品にEnergy Star認証に対応するなどのサポートにも余念がない。
お問合せ先:株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン ルミレッズ・ライティング・カンパニー Tel:03-3740-4125 Fax: 03-3740-5272
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ロームは、抵抗などの電子部品、ディスクリートからLSIに至る半導体、そしてモジュールも手掛ける半導体メーカ。LEDは、チップ、パッケージ品、表示器(7セグなど)のラインナップがあり、さらにグループ会社のアグレッド(旧丸善電機)によりLED照明器具の製造販売も行っている。
「PSL01シリーズ」は、照明用途に向けた1Wのハイパワー白色LED。350mA時に105lm/Wの高効率達成。蛍光体技術によるRa 95以上という高演色性のラインアップでは、特に赤色の再現性が大幅に改善され、明るいのはもちろん非常に自然な光が得られる。また、高温下や屋外での使用に対して安定で信頼が高いことも特長。耐熱性に優れたセラミック・パッケージの採用により130℃での動作が保証されており、金メッキ配線(一般には銀メッキ)を使用することで、屋外の排気ガスなどに起因する硫化による黒ずみが発生せず光束を維持する。シリーズの拡充として、高度なパッケージング技術による高い放熱性を特長とした0.5Wの「PSL02シリーズ」の供給も始まった。
ロームは多種多様なLEDを供給するなか、LED照明の市場を重要視しており、市場のニーズに対応する製品開発を進めている。LEDチップからドライバLSI、周辺部品のディスクリートやLEDモジュール、そして照明器具に至るトータル・ソリューションを提供できる強みをもって、この市場に挑む考えだ。
お問合せ先:ローム株式会社
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取材: fプロジェクト・コンサルティング 高橋 和渡
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