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ブラシレスモータドライバの設計事例

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技術解説 商品企画9 ~構想設計(MCD)~

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ブラシレスモータドライバの設計事例

商品企画9 ~構想設計(モータドライバ:MCD)~

MCD(Motor Control Device)は、指令値に基づき、直接モータを駆動制御するシステムの中で最も重要な機能回路部品になります。

部品の置き換えについて

心臓部とも言える重要部品ですのでもし、MCDを他社品に置き換えるとしても、回路、基板を置き換え品に合わせて修正する必要はあります。

しかし、前回説明したMCUほどには、他の製品や技術者、莫大な再投資などの影響は発生しないので割合に「置き換えは容易」です。

使用するMCDに最低限必要な機能
  • 最低限に必要な機能です。
  • ●三相ブラシレスモータのセンサレス通電制御
  • ●モータ回転方向(CW/CCW)制御
  • ●モータ回転速度制御
  • ●モータ回転速度情報出力(FG)
MCDを選定するための条件

簡単に言うと、「自分が欲している要求仕様が満たせるか?」のひと言に尽きます。

しかし、モータ用の制御部品の場合は、動的な制御機能の構成要素が非常に多くなかなか定量的な数値を元に客観的な判断が難しいものです。

できるだけ下記に示す様に必要条件を整理して開発メンバーやMCDメーカに相談して絞り込むのが良いと思います。

回路機能に関する必要条件
(○:マスト条件、△:あれば尚良し)
○三相センサレス制御機能(BEMF検出方式)
○制御定格:24V/3A以上
△ドライブ素子(MOSFET)内蔵がベター
○速度制御機能
○回転数FG信号生成、出力機能
○オーバーラップ通電機能(120°~180°)が可能
△ソフトスイッチング(スロープ)制御機能があればベター
△進み角制御機能があればベター
△モータロータロック停止検出機能があればベター
機能以外に求められる特長
  • ●できるだけ安価である
  • ●市場、量産実績が多いもの
  • ●できるだけ小型なパッケージが良い
選定したMCD

選定条件を満たす各社製MCDの中より、今回は、下記の東芝製MCDに絞り込みました。

最終的には、メーカより評価ボードを貸し出してもらいバラック機に接続して実モータ実験実証で確認した後に決めました。

主な特徴
●東芝製 TB67B001FTG
●PWMチョッパ方式三相全波ブラシレスモータセンサレスドライバ
●ドライブ素子内蔵(Pch/Nchコンプリメンタ出力)
●定格: 25V/3Apeak
●動作温度: -40~105℃
●コイル逆起電圧検出(BEMF)によるロータ位置検出
●回転速度信号(FG)生成、出力
●速度制御機能
●OVL(オーバーラップ)通電制御機能
●進角制御機能
●スロープ(ソフトスイッチ)制御機能
●ロータロック検出機能
●COM端子付きモータに接続可能
●小信号用電源回路内蔵(5V)
●各保護機能(TSD、ISD)
●省pin、省スペース5mm□サイズ36pin小型PKG
TB67B001FTGブロック図
TB67B001FTGブロック図 東芝製MCD

出展:(株)東芝