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技術解説 ブラシレスモータの駆動技術

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ブラシレスモータの駆動技術

ブラシレスモータはDCモータの様に機械的電流経路の切り替え機構を持たないため、ローターと同期した電流経路の切り替えを電気回路側で行う必要があります。またローター位置を検出する仕組みも必要になります。今回は代表的な駆動方法とローター位置の検出方法を紹介します。

14章 ブラシレスモータの駆動技術

ブラシレスモータの駆動技術

ブラシレスモータはDCモータの様な機械的の駆動制御方法は、主に下記の2種類があります。

矩形波駆動

ロータの回転角度に合わせて各相のドライバのON/OFFタイミングを順次切り替え、ステータコイルの電流方向を変化させロータを回転制御します。

60度毎にコイルに流れる電流を切り替えると、ロータ各相は120度毎にS極/N極が切り替わります。ロータを1回転(360度)すると、電流方向の切り替えは6回(360度÷60度)行います。

正弦波駆動

ロータの回転角度を検出し位相を120度ずらした正弦波電圧を各相に与えステータのコイルの電流方向と電流量をアナログ的に変化させてロータを回転制御します。3相で発生する合成トルクが一定の理想に近似するため、低騒音で滑らかに回転制御ができます。

他にもより効率良くモータ制御する手法としてベクトル制御や弱め界磁制御などがありますが、より複雑な回路構成になってきます。

ブラシレスモータでもPWM制御

DCモータやステッピングモータ同様にブラシレスモータも電磁コイル電動機なので同じ様に制御の基本は、PWM制御になります。

滑らかな回転制御が特長のブラシレスモータの場合、定電流PWM制御によるトルクサーボ系の安定化も重要になります。

ブラシレスモータは位置検出センサが必要

ブラシレスモータの制御は、ロータ位置を正確に把握しながら的確に通電位相制御を行わないとモータは意図する様に制御できません。また、ロータ位置検出を行いフィードバック制御することで正確な目標回転速度/位置(角度)の運転が行えます。

ロータ位置検出センサ

ブラシレスモータのロータ位置検出センサは、下記に示すものが用途、スペックに応じて使用されています。

①ホールセンサ
ホール素子は、磁界を検出しアナログ信号を出力する素子です。ホール素子の出力にコンパレータを付加しデジタル信号に変換出力するホールICも良く使用されます。
このホールセンサをU,V,W各相に対して1個ずつ(3相分で合計3個)使用しロータに対峙するステータ側に120度間隔にセンサ配置することで、検出分解能60度でロータ位置を検知できます。
ホールセンサは、非接触で使用するため機械的な耐久性は高いですが、温度ドリフト量が大きく周囲温度が大幅に変動するような環境では使うことができません。
②レゾルバ
レゾルバは変圧器(トランス)の原理を利用したもので、アナログ交流電流で励磁され、回転位置情報を2相(sin,cos)信号を出力します。専用のレゾルバ信号処理ICで三角関数演算を行い、ロータ位置(角度)/速度を得る仕組みです。
レゾルバは、非接触で比較的に耐温度環境変動に優れているのでハイブリッド/EVカーなどの駆動モータに使用されています。
③エンコーダ
一般的に光学式エンコーダ(光学センサを使用)が良く使われています。フォトダイオード(発光部)と受光部、スケーラ(光反射orスリット)で構成され90度の位相差関係のA相、B相とインデックス位置としてZ相の3つの信号が得られる仕組みです。精度良く速度/位置制御を行う必要のある産業用機械のモータに使用されロータ1回転で100~5000パルスが出力されるものが良く使用されます。
ホールセンサと併用して使われる事が多くより高精度な制御を求める仕様です。ホールセンサ情報で初期位置を取得し、エンコーダで得られる機械角インデックスのZ相信号を検出し絶対位置を決め、正確にロータ回転角の捕捉と位置決め制御を行うことができます。
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